>>1 このような見方を示したのは、昨年5月に発表されたアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)と戦争研究所(ISW)の共同プロジェクトのレポートである。AEIもISWもネオコンの牙城だけに、このレポートの意義は大きい。
レポートの主旨は、「統一のために中国は台湾に侵攻する必要はない」というもので、「われわれはこのことを長いこと見逃してきた」というのだ。
要するに、中国は武力攻撃によって台湾を併合するようなリスクの高いことはやらない。やるとしたら、台湾を丸ごと封鎖し、台湾経済を止めて「中台和平協定」の締結に持ち込んで統一を成し遂げるというのである。
こうされたとき、はたしてアメリカは軍事力を行使して封鎖を破り、台湾を守るだろうか?
中国の「台湾包囲・封鎖作戦」は、台湾が独立の動きを見せた際には即座に実行される。まず、中国海軍による海上封鎖、港湾封鎖が行われ、台湾に向かうすべての船舶が停止させられる。当然、台湾海峡は封鎖される。台湾は島国だけに、封鎖は容易にできる。
■包囲・封鎖されたら2週間しか持たない
このような「台湾包囲・封鎖作戦」は、じつは合理的かつもっとも成功度が高い作戦だ。
なぜなら、台湾はほぼ全エネルギーを輸入に頼っているからだ。エネルギー資源は主としてLNGと石炭だが、LNGの備蓄は10日間ほど、石炭の備蓄は40日間ほどという。つまり、封鎖すれば、台湾は2週間しか持たないのである。
「台湾包囲・封鎖作戦」は、戦争ではない。台湾への砲撃・空爆も、ミサイル攻撃も、上陸作戦も行われない。よって一般市民の命は失われない。こうなったとき、アメリカ軍、そして日本の自衛隊はなにができるのか? 尖閣諸島も台湾と同時に包囲・封鎖されたら、自衛隊は出動するのだろうか?