新型コロナウイルスの感染拡大でマスクの品薄状態が続く中、各地の学校で白のマスクを子どもに強要するケースが相次いでいる。「こんな時に…」「腹が立った」。インターネット上で不満が広がる一方、色を限定しないよう学校側に働き掛ける動きも。専門家は「子どもの自由だけでなく、安全や健康を侵害させかねない問題だ」と指摘する。
「そのマスクってピンクじゃない? 白はないの?」。3月上旬、佐賀市内の中学校に通っていた女子生徒(15)は、休み時間中に廊下で女性教諭から呼び止められ、そう注意された。
生徒は「何色でもいいじゃん」と思い、指摘を受け流した。生徒は取材に対し「マスクは店で売ってないし、そんなに白がいいなら学校が配ればいい。意味が分かんない」。
佐賀市教育委員会の担当者は同様のケースは報告がないとした上で「白は汚れが目立ち、衛生的には望ましいが、店頭に並んでいないという現状を踏まえれば色は関係ない」と説明する。
だが、札幌市教委の会議や群馬県議会の委員会でも3月に入り、生徒らが学校側から色や柄を注意されたという事例が報告された。会員制交流サイト(SNS)上では、生徒や保護者らから「こんな時に色指定だなんて…むごい」「この状況でまだそれ言う?」と批判の声が上がる。
こうした学校側の指導を是正する動きも見られる。札幌、熊本両市の教育委員会は3月下旬までに「品薄である実態を踏まえて適切に対応してほしい」「白に限定する対応は不適切であり、絶対に行ってはいけない」とそれぞれ学校側に呼び掛けた。
「教育」の危うさをテーマに「学校リスク」を研究する名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「学校の秩序を優先したのかもしれないが、色の指定は子どもの自由や個性を抑圧するだけではなく、感染拡大に対応する地域社会を脅かしかねないという意味で、二重に不当だ」と指摘した。
ソース 福井新聞
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1074207