土砂に押しつぶされた住宅、建物を突き破る流木、陥没した道路――。活発な梅雨前線による豪雨は7日、山口県内でも犠牲者が出るなど、大きな傷痕を残した。「まさか、こんなことになるとは」。被災地では住民たちが、明け方の雨から一転して晴れ間が広がった空を、恨めしげに見つめた。
◆住宅は跡形もなく
亡くなった周南市樋口の女性の自宅は、土砂や丸太、流された倉庫のがれきなどに覆われ、跡形もなくなっていた。長さ約20メートルの流木が貫通して窓から飛び出ている民家や大きく傾いた電柱もあり、一帯は変わり果てた姿になっていた。
女性宅の近くに住む男性(79)は同日午前6時半頃、就寝中に「大変なことになっているぞ」と知人に起こされて惨状に気づいた。家の外を見渡すと、すでに女性宅は跡形もなくなっていたという。男性は「初めて経験するような雨だった。生まれ育った場所がこんなひどいことになるなんて、悲しい」と肩を落とした。
女性の親類によると、女性は岩国市の老人ホームに勤務。普段から車で近所のお年寄りを病院や買い物に連れていくなどしていたといい、「本当に人の世話をよくする面倒見のいい人だったのに」と悔しがった。
柳井市中馬皿では6日夜、県道が幅約4メートル、長さ約40メートルにわたって崩落した。乗用車2台が約15メートルの崖下に落ち、それぞれ運転していた19歳と20歳の男性が打撲などの軽傷を負った。
また、同市阿月では住宅の裏山が崩れ、外にいた女性(84)が体半分土砂に埋まり、右足に打撲を負った。
◆「獺祭」90万本廃棄へ
住民1人が犠牲となった岩国市獺越地区には、日本酒「獺祭」の蔵元・旭酒造があり、本社蔵や直売所の建物が床上浸水などの被害を受けた。同社の桜井博志会長は「90万本ほど廃棄することになりそう。復旧に数か月はかかるのではないか」と述べた。
◆JRは全線運休
JRはこの日、山口県内全線で運行を取りやめた。光市浅江では、JR山陽線の線路脇で山の斜面が高さ20メートル以上、幅40メートル以上にわたって崩れ、線路と並行して走る国道188号上り線の片側2車線をふさいだ。
JR西日本によると、土砂の撤去後に斜面の大幅な補強工事も必要で、復旧の見通しは立っていない。
県は7日午前、県庁で連絡会議を開いた。村岡知事や各部長、県警から柴山克彦本部長が出席。各地の人的、家屋被害などが報告され、今後の対応について確認した。村岡知事は「各市町、関係機関としっかり連携して万全の対応をしていきたい」と話した。
◆きょうも雨予報
下関地方気象台によると、7日午後1時までの48時間の降水量は、岩国市玖珂町で418・5ミリ、同市中心部で397ミリ、下松市中心部で317ミリと、いずれも観測史上最大となった。
8日も、特に雨量の多かった県東部での土砂災害や河川の氾濫に警戒が必要という。9日以降は高気圧の影響で「晴れ」が続いて真夏日となる見込み。被災地での片づけなど屋外で作業する場合は、熱中症に注意するよう呼びかけている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180708-OYT1T50041.html
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