![消防隊員の「トイレ行けない問題」を解決!…東京消防庁の「トイレカー」とは? [きつねうどん★]->画像>3枚](https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/08/20220825-OYT1I50130-1.jpg)
東京消防庁が導入したトイレカー
電気街からオタクの街へと変わり、近年は国内外から若者が集う秋葉原。JR秋葉原駅から北に進むと、目的地の神田消防署(東京都千代田区)の建物が見えてきた。玄関では、秋葉原らしい美少女キャラのマスコットキャラクター「神田よくみ」の等身大パネルが出迎えてくれた。車庫の扉を開けて奥に進むと、角ばったデザインの真っ赤な消防車が静かに待機していた。
広い車内に大小便器が二つずつ…女性用個室も別に用意
![消防隊員の「トイレ行けない問題」を解決!…東京消防庁の「トイレカー」とは? [きつねうどん★]->画像>3枚](https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/08/20220825-OYT1I50131-1.jpg)
男性用のスペースには小便器、大便器、手洗いシンクを二つずつ設置
「外に出すので、そちらで撮影しませんか」と担当者に促され、車が動く様子を目の前で撮影した。ベースとなったのは、日野の中型トラック「レンジャー」(排気量5200CC)だが、全長8メートル05、全幅2メートル45、全高3メートル16、重さ約8トンものボディーは、はるかに大きく感じられた。
車体左側の扉を開くと、そこは男性用のスペースで、小便器と大便器(個室)が二つずつ備えられていた。女性用のスペースは車体後部に位置しているが、男性用とは独立していて、車体後部から収納式の階段を引き出して出入りする構造だ。もちろん、どちらにも手洗いシンクがある。女性用は便器が一つだけだが、着替えのための空間も確保されている。男女どちらのスペースも天井まで高さに余裕があり、身長1メートル87の記者でも腰をかがめる必要はなかった。
個室の洗浄方式は新幹線などと同じ「真空吸引式」で、排せつ物と少量の洗浄水を便器下のタンクに吸引する仕組み。小便用に200リットル、大便用に150リットルのタンクを備えていて、長期間の活動にも対応する。
2021年度は44回出動、熱海の土砂災害現場でも活躍
東京消防庁が消防車両として「トイレカー」を導入したのは昨年4月。導入費用は約4800万円だったという。おおむね4時間以上の「長時間活動」が見込まれる現場に後方支援のため出動することにしていて、昨年度は44回出動したほか、静岡県熱海市の土砂災害現場にも「緊急消防援助隊」の1車両として派遣されたという。
消防の現場では、女性職員も消火活動や救護活動、指揮活動など様々な業務で作業に当たっている。導入の背景には、現場でストレスなく活動でき、年々増加している女性職員にも配慮した職場環境を整える目的もあったそうだ。
現在、東京消防庁のトイレカーは神田消防署に配備された1台だけだが、多摩地区に小型トラックベースのトイレカーを配備する計画があるという。
取材中に「火災発生」の一報が入り、消防車がサイレンを鳴らしながら次々と出動していった。トイレカーの取材を通じ、現場で奮闘する隊員たちを支えている消防職員の存在も改めて実感した。
https://www.yomiuri.co.jp/hobby/atcars/20220825-OYT1T50176/