議員の兼業範囲 条例で明確化03月04日 12時05分
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kochi/20190304/8010004524.html 離島を除いて全国で最も人口が少ない高知県大川村で、議員のなり手の確保に向け、議員とほかの仕事との兼業が
認められる企業や団体を公表する条例が成立しました。
議員のなり手確保の方法を模索してきた中で、ひとつの大きな節目となりました。
人口およそ400人の大川村は、議会に代わって有権者が直接議案を審議する「町村総会」の設置を一時、
検討するなど、議員のなり手確保の方法を模索してきました。
こうした中で、村と村議会は、地方自治法で規制されている村の事業を請け負っている団体の役員などの議員との
兼業について、要件があいまいだとして、逆に、どの範囲であれば認められるのかを条例で明確にする方針を決めました。
そして、4日に開会した定例村議会で議会側から条例案が提出され、全会一致で可決、成立しました。
それによりますと、村内の企業や団体の役員などのうち、村の運営上、必要性が高い事業を補助金を受けながら
担っていたり、村から指定され施設の管理を行っていたりするなどした場合は、規制の対象にあたらないとしています。
そのうえで、どの企業や団体が規制の対象とならないのか、毎年、村長が公表するとしています。
この条例は来月1日に施行され、来月16日に告示される村議会議員選挙での立候補につながることが期待されます。
議員のなり手確保の動きが全国から注目されてきた中で、ひとつの大きな節目となりました。
議会のあと、和田知士村長は、「なり手不足の解消に向け1歩進んだと思っている。
これから対象となる事業者を整理して、できる限り早く公表したい」と話しました。
今回の条例について高知県は、「議員との兼業が可能な範囲を明確にする条例は、聞いたことがない。
極めて異例ではないか」と話しています。
そのうえで、「議員のなり手不足を解決する1つの方法として有意義だと思う」と話しています。
【今回成立の条例は】
今回の条例は、大川村の多くの人が何らかの形で村の事業に関係する中で、地方自治法でどこまでの範囲が議員
との兼業が規制されているかがあいまいだとして、逆に議員との兼業を認める企業や団体を公表することで、
村議会議員選挙への立候補がしやすくなるように、作られました。
条例は、6条から構成され、第1条には、「議会議員のなり手不足をできるかぎり補うため、議会議員の兼業禁止に
ついて明確化を図り、村議会を維持することを目的とする」と、議員のなり手不足への対策であることが明記されています。
また、第2条では、「第1条の目的を達成するために地方自治法の定めを重視して、特性に応じた村づくりが推進できる
ことを基調とする」と盛り込まれました。
その上で、第3条では村内の企業や団体の役員のうち、▽村の運営上、必要性が高い事業を補助金を受けながら
担っていたり、▽村から指定され施設の管理を行っていたりする場合、また、▽村と土地の貸し借りの取り引きを行う
際に営利目的ではない場合などは兼業規制の対象にはならないとしています。
さらに、第4条では「企業や団体が村から仕事を請け負っていたとしても、それが議員活動を公正・適正に行う妨げに
はならないと考えられる場合」は、兼業規制の対象にならないとしています。
これは、企業や団体が村から請け負う業務のうち、村の指定を受けて施設の管理など第3条で認められているものを
除いた金額が、その組織の収入全体の50%を下回る場合、議員と役員などの兼業が認められるという考えです。
そして、第5条では「条件を満たす企業や団体を、毎年、村長が公表する」と定めています。
最後の第6条では関連する地方自治法の条文に違反しない形で運用するとしています。条例は来月1日から施行されます。
兼業が認められる企業や団体を村長が公表する時期については触れられていませんが、来月の村議会議員選挙の
告示を前に、公表し、立候補を後押ししたいとしています。
【条例制定の経緯は】
大川村は、四国山地の中央に位置し、鉱山の閉山やダム建設の影響で人口が急激に減少し、2月末時点での人口は
406人と、離島を除いて全国で最も少なくなっています。
このため、村議会議員の選挙のたびに担い手不足に悩まされ、4年前の前回、平成27年の選挙では新人の立候補は
なく、現職全員が無投票で再選しました。