一方で、1980年代前後に生まれたミレニアル世代は平均で59歳ぐらいで仕事をリタイアして老後を過ごしたいと考えている人が多いのですが、現実との間には大きな乖離があるため、早いうちから何らかの備えをしておくべき状況が明らかになっています。
世界最大級のメガバンクであるHSBCホールディングスが、世界16カ国の働く世代を対象に退職・引退の実態を調査した報告書「The Future of Retirement」の最新版である「Shifting sands」からは、働く世代の現実が浮き彫りになっています。
報告書では、ミレニアル世代が仕事を引退したいと考えている年齢は59歳となっており、これは全ての世代の平均値である61歳よりも2歳分若い数値となっているとのこと。
また、ミレニアル世代のわずか10%が65歳以降も働くことを望んでいるという実態も明らかになっています。これはつまり、早期に仕事をリタイアして老後を送る、という計画を持つ人が多くなっているということを示しています。
しかし一方で、現実の社会はその願いを受け入れる状況にはないと言えます。
ミレニアル世代が生きる社会は、従来にはないほど厳しさを増す傾向にあり、リタイア後の経済状況を考えると、定年退職する年齢は全世界的に引き上げられているという現象が存在しているためです。
調査を実施した国ごとに、定年退職予定の年齢と何歳まで生きたいのかをプロットしたのが以下のグラフ。
![【調査】ミレニアル世代の未来は「65歳過ぎまで働けるのは10人に1人」「実際の引退は59歳」という現実が判明 [無断転載禁止]©2ch.net ->画像>2枚](http://i.gzn.jp/img/2017/05/06/millennials-retirement/p12_m.png)
一番上にある平均値では61歳で退職し、81歳まで生きたいという数値が出ているほか、多くの国で60歳前後で定年退職し、80歳前後まで生活を続けたいという結果になっており、老後の20年は大きな収入に頼ることなく生活を送る必要があることを意味しています。
ここからも、より良い生活を得るためや不安定さを増す世界経済の状況を鑑みて、より長く働く意志を抱く人が多く存在している理由が伝わってきます。
HSBCの報告書では、ミレニアル世代はこれまでで最も老後の見通しが厳しい世代と記されています。ミレニアル世代が良い老後を過ごせると考えている人は、世界の人々のわずか10%とのこと。
一方で、ベビーブーマー世代の場合はその数値は42%と、大きく離れている状況。
また、53%の人はミレニアル世代は弱い経済の発展しか体験していないと考えており、58%の人は年上の世代の時代に発生した金融危機や国家の負債などのツケを払わされていると考えています。
しかしその一方で、ミレニアル世代は古い世代の人よりも豊かな生活の質、「クオリティ・オブ・ライフ」を享受していると考えている人は54%にのぼり、60%の人はリタイア後の生活の選択肢が従来よりも多いと考えているとのこと。
当のミレニアル世代は、平均して26歳の時から老後に向けて蓄えを開始しているという統計もあり、他の世代よりもリスクを取って資産を増やす意志が旺盛という傾向も見られるとのこと。
HSBCの資産管理部門トップのCharlie Nunn氏は「ミレニアル世代は経済・人口上の厳しい現実を広く認識している一方で、老後に迎えるであろう現実をよく理解しているとは言いがたい状況にあります。
低い金利、保険関連費用の高騰、予測される国家による老後の保障の減少などが予測されるいま、老後に備えて蓄えを行っておくことは従来にも増して重要なこととなっています。
早く備えを始め、良く蓄えておくことで、いつまでも働き続けなければならないという状況を防ぐことができます」と記しています。
なお、老後の人生設計が狂う大きな原因の一つが、他ならぬ「健康状態の変化」とのこと。
http://gigazine.net/news/20170506-millennials-retirement/